顎変形症の手術に向かう方は
「手術後が大変」と聞いている方も多いのではないでしょうか。
さらに、顔が腫れた痛々しい写真を見た方もいると思います。
実際に私も、顎変形症の手術を受けましたが
手術後の生活も無事に乗り越えることができました。
この記事では、私の手術直後のからだの状態や痛みなど、手術当日の実体験をご紹介します。
手術当日の状態を把握しておくと、少しでも心の準備ができると思います。
また、このような内容を知れば知るほど
余計に不安になってしまう方もいるかもしれません。
そんな方は、ぜひ最後の「おわりに」まで読んでみて下さい。
また、YouTubeチャンネル『アゴと食』では入院中のメモをもとにした動画を公開しています。
こちらでも、手術後の体感などご紹介しています。
体と顔の状態
約5時間の手術を終え、ベッドで運ばれ病室に戻ってきます。
手術当日はベッド上安静です。
顔や体にいろいろ装着されていて、身動きがとりにくい状態です。
◆酸素マスク
◆点滴
◆顔に弾性包帯
顔面の腫れを抑えるために顔を圧迫するものです。
◆顔に保冷剤
こちらも顔面の腫れを抑えるためのものです。
弾性包帯と合わせて頬の辺りにつけてます。
◆口の両頬に血を抜くチューブ
骨を切ったところに血が溜まらないように排出するためのものです。
麻酔で眠っている間に入れられているので、痛みなどはありません。
◆尿を採る管(尿道カテーテル)
一日ベッド上安静のため、トイレにも行けません。
そのため、膀胱から自然に尿を排出するためのものです。
麻酔で眠っている間に入れられているので、痛みなどはありません。
◆酸素測定器
体内の酸素濃度を測るもので、指先を挟んでいます。
手術後の痛み
直後に顔面の痛みはない
手術の直後は、まだ麻酔が残っているためか、顔自体が痛いと感じることはありませんでした。
痛みが出た場合は、鎮静剤が投与されるようですが、
術後に強い痛みが出る方は少ないとのことです。
顔の周りを弾性包帯で覆われいるため、顔面に圧迫感があります。
痛みはないものの、口の中にヤケドしたような感覚があったり、顔の腫れによって鼻づまりが起きたり、そんな症状が発生していました。
私が痛かったのは顔面よりも"のど"
顔面に痛みがない一方で、手術直後に痛かったのは"のど"
イガイガ、チクチクっといった感じでした。
全身麻酔での手術では、よく起きる症状のようです。
のどの痛みの原因は
手術中に口から入れられている気管のチューブによるものです。
全身麻酔では、自身で呼吸ができなくなるため
のどから気管にチューブ(人工呼吸器)を入れて呼吸をします。
このチューブ自体は、麻酔で眠っている間に入れられるため、痛かったり苦しかったりすることはありません。
麻酔による痰(たん)
麻酔の影響により痰が多くでるようになります。
しばらくは血液が混じった痰です。
私は自力でティッシュに吐き出してました。
これでもか!というくらい痰が溜まる頻度が高くて、こまめに吐き出してました。
自身でうまく吐き出せないときは、吸引器を使って痰をとることもできます。
看護師さんもやってくれますが、自分で吸引器を使いこなす方も多いようです。
麻酔による吐き気
私は大丈夫でしたが、吐き気がある方もいるようです。
これも麻酔の影響で起こる症状です。
吐き気が起きやすい人の特徴は
女性・乗り物酔いしやすい・タバコを吸わない など
私は、全てに該当・・・
特に乗り物酔いはひどい方です。
それでも私は、術後に吐き気などで気分が悪くなることはありませんでした。
一方、全く乗り物酔いをしないという女性(顎変形症の手術で同じ病室だった方)に、吐き気が発生していました。
私に吐き気が起きなかったのは、麻酔科の先生のケアによるものだと実感しています。
麻酔科の先生は、予防として吐き気止めの薬をあらかじめ投与したり、薬剤の調整など、吐き気が起きないようにケアをしてくれます。
手術の前日には、麻酔科の先生とお話する時間があります。
その際に、車酔いはしやすいか?など事前に確認されます。
私は、特に車酔いがひどいこと、車酔いしやすい度合を正直にお話しました。
この事前確認でお話したことで、私に合った的確なケアをして下さいました。
実際、乗り物酔いをしない女性に吐き気があったように
個人差があり、ケアの仕方も違うのだと思います。
もし、吐き気があっても、吐き気止めを点滴として投与するなど
すぐに対処して下さるので心配はいりません。
こんなところで一苦労
寝ること
病室に戻ってきてからは、意識もはっきりしていました。
それでも、麻酔が残っているので目が重たくて閉じたくなります。
そうすると自然に眠りに入るのですが、そこでも一苦労がありました。
私は、鼻づまりが起きていたために、鼻呼吸ができません。
そのため、口を開けて眠りにつくと口が乾燥します。
口の中のやけど感と喉のヒリヒリに口の乾燥が上乗せされ、とにかく水分を欲してました。
さらに私の場合は、鼻づまりと口呼吸によって、いびきをかきやすくなっていたようです。
いびきをかくから寝たくはない。でも目を閉じたい。
気付くと寝てる。
寝ると自分のいびきで目が覚める。
また寝て、いびきで目が覚める。
手術直後はそんな時間が続きました。
いびきがでてたのは先にも後にもこの時だけでした。
水を飲むこと
これは・・・
「吸飲みか~。いかにも病人みたいでイヤだな。ストローでいけるっしょ!買わなくいいよ!」
という"病人感出したくない”という私の謎のこだわりが生んだ一苦労です。
病室に戻ってから、約2~3時間後に水を飲んでいいとのことでした。
「寝ること」でもあるように口の中が乾燥しているので、水分が待ち遠しかったです。
酸素マスクを外すのと同じタイミングで
「お水飲んでみますか?」と看護師さんが来てくれました。
私は、吸飲みを購入せず、ペットボトルにストローをさして挑みました。
※病院からは吸飲みを推奨されてました。
わりと吸う力には自信があった私は
看護師さんにも「上手に飲むね~」と言われるくらいに
上手いこと水を飲んだのですが・・・
実際は
”チョロチョロチョロ~”ぐらいしか飲めず。
褒められたわりに、自分では満足するほど飲めてなかったです。
口に血を抜くチューブがあること、口元の感覚がにぶいこともあり
ストローも思うようには加えられませんでした。
チューブが邪魔をして口を閉じにくいため、吸うのもなかなか難しいです。
なので、私もなんとか頑張ってチョロチョロっと飲めたという感じです。
私みたいなことにならないように・・・
確実に水を飲むには、吸飲みを持っていくことをオススメします。
その他の入院中の持ち物については、別記事でもご紹介しています。
消灯後からが勝負!
入院生活を振り返ってみると
消灯されてからが"顎変形症手術のメインイベント"でした。
いつも通り21時に消灯されますが、なかなか寝れませんでした。
水を飲んで以降は、麻酔も完全に切れているようです。
この時の私にでた症状は手術直後と同じく
・顔の圧迫感
・のどの痛み
・痰
・鼻づまり
・口のやけど感
・口の乾燥
さらに、これらに加えて顔が熱く感じるようになってきました。
どうにか寝ようとウトウトしていると、顔が熱くなり目が覚めます。
顔の腫れを抑えるために保冷剤をつけている状態ですが
この保冷剤が溶けると一気に顔が熱くなり、体も熱くなりました。
ナースコールで頬を冷やす保冷剤を持ってきてもらいます。
就寝前にも看護師さんが適宜来て、保冷剤を交換してくれていました。
顔を冷やしていないと眠れない状態で
フッと目が覚めるのは体が熱くなっているときでした。
また、"鼻づまり"も眠れない要因として大きかったです。
初めは、いつもの寝る体勢としてベッドを横にしてましたが
鼻づまりがひどかったため、ベッドの頭を起こしてみました。
横になっている時よりも断然、呼吸が楽になります。
鼻づまりが落ち着いたらもう一度ベッドを横に倒してみたり、
また鼻づまりがひどくなったら起こしてみたりと
何度か繰り返しましたが
私は起こしている状態が一番安定していたため、そのまま朝を迎えました。
痰をだし、ウトウトしては熱くなり、保冷剤を交換しては、痰をだす。
痰をだし、ウトウトしては鼻づまり、眠れなくなり、痰をだす。
こんな状況が続きました。
痰はでる頻度が多いだけで、苦しいわけではないのでどうにかなりました。
まだ23時かよ・・・
まだ1時かよ・・・と、夜が長かったです。
おわりに『手術のあとも何とかなる』
この記事を読んで、余計に不安になってしまった方もいるかもしれません。
「もし、○○になったらどうしよう。」
「私には耐えられないかもしれない。」
しかし、今抱えている不安な気持ちは、ここに置いていってほしいです。
私にも、そんな不安な時もありましたが
入院をするときには「なんとかなるっしょ!」と思えていました。
思えたというか、そう思うようにしていたのかもしれません。
不安な気持ちが作り出すのは、不安な未来だけです。
実際にこの期間を経て
入院前に抱えていた不安は、なんの意味もなかったことを実感しました。
必ず終わりは来ます。良くなります。
なんとかなります!
入院生活を乗り越えられる自分の姿をイメージしながら
あらためてこの記事を読んでみてください。
この記事が、手術に向かう心の準備のお手伝いができていたら幸いです。
最後まで、読んでいただきありがとうございました。